ナホム書(しょ) 2
2 1 ニネベよ。おまえはもうおしまいだ。 すでに敵の軍隊に囲まれている。 警鐘を鳴らせ。城壁に人を配置し、守りを固め、 全力を尽くして敵の侵入を見張れ。 2 神の民の地は、おまえの攻撃で人はいなくなり、 破壊された。 だが主は、彼らの誉れと力とを回復する。 3 兵士の盾は太陽の光を受け、真っ赤に輝く。 攻撃開始だ。深紅の軍服を見よ。 飛び跳ねる馬に引かれて、 ぴかぴかの戦車が並んで進んで来るのを見よ。 4 あなたの戦車は、たいまつのような光を放ちながら、 向こう見ずに通りを突っ走り、広場を走り抜ける。 5 王は役人たちを呼んで叫ぶ。 彼らはあわてふためいてつまずきながら、 守備を固めようと、城壁に向かって走る。 6 だが、もう遅い。水門は開かれた。 敵が入って来る。宮殿は大騒ぎだ。 7 ニネベの王妃は裸で通りに引き出され、 奴隷として引いて行かれる。 泣き悲しむ侍女たちもいっしょだ。 彼女たちが鳩のように泣く声と、 悲しんで胸を打つ音を聞け。 8 ニネベは水のもれる水槽のようだ。 兵士たちは町を見捨てて、こっそり逃げ出す。 呼び戻すことはできない。 「止まれ、止まれ」とニネベが叫んでも、 彼らは走り続ける。 9 銀を奪え。金を奪え。 財宝はいくらでもある。 山のような富もはぎ取られてしまう。 10 まもなく、この町は人っ子一人いない 散乱状態となる。 心は恐怖におののき、ひざは震え、 彼らはぼう然として青ざめる。 11 諸国の間でライオンのようにふるまい、 闘志と大胆さをみなぎらせていた町、 年老いて弱くなった者も、いたいけな子どもも 恐れることなく暮らしていた町、 あの偉大なニネベは今、どこにあるのか。 12 ニネベよ、かつての勇猛なライオンよ。 おまえは妻子に食べさせるために 多くの敵を押しつぶし、 町と家を分捕り物と奴隷でいっぱいにした。 13 しかし今、全能の主がおまえに立ち向かう。 武器は破壊され、 戦車は使われないままひっそりと放置される。 すぐれた若者も死んで横たわる。 もう、他国を征服して奴隷を連れて来ることもない。 再びこの地を支配できないのだ。